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ポジティブ先生

骸骨ビルの庭(上)

骸骨ビルの庭(上)

骸骨ビルの庭(下)

骸骨ビルの庭(下)

骸骨ビルを塒とした戦争孤児たちと育て親の二人の青年の思いに、主人公の中年男性が触れ、解きほぐしていく物語。
妙に主人公のおっさんができた人物だったり、都合よく話が進んだりするんだけど、一人ひとりの登場人物の語りは面白かった。その中でもオカマ(性同一性障害かな)のナナちゃんの言葉が印象的だった。

やるだけのことをやり尽くして、あとは時を待つしかない。まさに、人事を尽くして天命を待つ、ってやつよ。人事を尽くさずに天命だけ待ってたら朝顔だって枯れちゃうわ。
私たち、そういうことを幼いときから自然に骨身に徹して学んだのよ。幸福な子供たちだったと思うわ。

だから、骸骨ビルで自分に与えられた畑仕事をやりつづけて育った子たちは、おとなになってからも粘り強いわ。みんな立派な学歴なんてないけど、自分の仕事にてを抜かない。骨身を惜しんだら結果がどうなるか。骸骨ビルの庭で、これでもかって教えられたのよ。