ex

忙しかったり暇だったり

見えないアメリカ (講談社現代新書)

見えないアメリカ (講談社現代新書)

様々なバックグラウンド・人種・経済力の人々を抱え、捉えきれないほどの多様さをもつアメリカを、選挙のアウトリーチ(集票担当)の観点から政治イデオロギーで切っていく本。
アメリカ人はリベラル(この場合は社会自由主義)か保守かということがアイデンティティーを日本人に比べて占めているそうなんだけど、リベラルと保守、アメリカの政治イデオロギーの特殊性や歴史をかきながらアメリカ人の性質を述べています。
この筆者が書いていていいなぁーと思ったのが、もちろん定義付けることはステレオタイプにもつながるし気を付けなければいけないということを前置きしたうえで、『個別の例外をはじめから気にして分類そのものを拒むと、現存する傾向がなにも見えなくなってしまい、結果として統合的な理解にも到達しない』と書いていたところ。物事を細部まで見るか中核を見るかわからなくなることがあるけど、この意識は結構大事だなーと思います。
それにしても、日本人はアイデンティティーに政治が占めにくいから、単純にやっぱり違うんだなぁと思うところがいっぱいあっておもしろかったです。
保守かリベラルかによって極端に言えば食べるものが違うとか。スタバはリベラルで、クアーズビール(バドワイザーみたいな)は保守なんだってー。なんかイメージ的にわかるけど、日本じゃありえない。
あとは銃規制反対が根強いのは、日本でいう釣りと同じくらいにハンティングが身近だからとか。
実際はまた違うんだろうけど、アメリカには旅行で行っただけ程度のわたしにはわかりやすい文章で、興味深いことが次々書かれてなかなかいい本でした。